解析をやる上で意識するものの一つが降伏応力だと思います。
なんといっても設計しているものが壊れては困るわけで、特に靭性材料などは安全率の計算に降伏応力を使ったりしますね。
応力が降伏点に達した時、そこでその物体が破断するとかは壊れたりはしなくても、塑性、つまり永久変形してしまうと、あとは用をなさなくなってしまいます。
したがって、降伏点から先を意識することはあまりないと思います。
というわけで、今日は弾塑性解析をやってみて、どんな挙動になるのかを確認してみることにしました。
題材はこんなフックです。
このフックに荷重がかかることを想定します。
とりあえず、ジオメトリは3D CADで作って、パラソリッドでプリポストのMentatに持ってきました。
その形状に2次のテトラ要素を自動メッシュで作成しました。ちなみに要素数は約2000、節点数は約4000です。
あとは境界条件と材料物性の定義です。
拘束については、このフックの上の面上の節点を全拘束しました。
で、荷重は下向きに最大で200Nかかるようにします。
ただし、一旦最大まで載荷して、そのあとゼロになるように除荷するように設定して、最後にどのくらい永久変形が残るか見てみたいと思います。
(最大まで載荷した後に、ゼロまで戻す)
材料物性は、ヤング率とボアソン比はよくある210,000 MPaと0.3にしました。
バイリニアの物性定義にすることにして、降伏応力以降の応力ひずみの関係は以下のようにすることにしました。
で、解析実行しました。
最初の状態がこれ。
で変形が進み、
最大の荷重がかかるあたりで14mm近くも変形し、
荷重が0になっても、永久変形が8mmくらい残っています。
荷重がゼロに戻った時の全相当塑性ひずみがこんな感じです。
ちなみに、塑性が始まっていない時には、全相当塑性ひずみはゼロです。(当然ですが)
でも、最大の荷重の30%くらいかけた時には、
塑性がはじまっちゃってますね。
ちなみに、この時点のミーゼス応力は内側を中心に355MPaを超えてますから塑性の領域に入っていますから、もうこの時点で永久変形始まっちゃってますね。
ちなみにですが、この解析の流れは以下のYouTubeでも見ることができるので、ご覧くださいませ。
なお、5分過ぎくらいで解析結果の再生をしていますが、途中でガクンと変形してから、徐荷にしたがって戻るところも確認できます。